「三井化学 触媒科学賞」受賞者

三井化学は、化学および化学産業の持続的発展に寄与する目的で、世界の触媒科学分野において特に優れた研究業績をあげた研究者を表彰する「三井化学 触媒科学賞」、「三井化学 触媒科学奨励賞」を2004年に制定いたしました。

2016年「三井化学 触媒科学賞」、「三井化学 触媒科学奨励賞」各受賞者が決定しました。

受賞者は以下の通りです。

受賞者一覧

所属・肩書きは発表当時のものです。

2014年受賞者

三井化学 触媒科学賞

F. Dean TosteF. Dean Toste
カリフォルニア大学バークレー校 教授


業績:
「有機合成に向けた新コンセプトおよび新触媒の導入:均一系金触媒および不斉対アニオン触媒を含む触媒反応開発」

F. Dean Toste博士は、高原子価金属酸化物や不斉対アニオン等による次のような革新的触媒の開発に先駆的役割を果たした; (1) 低原子価金錯体による均一系触媒; (2) 高原子価金属オキソ錯体触媒; (3) 不斉対アニオンによる相間移動不斉触媒。また発酵と金属触媒系を組み合わせたバイオマスからの燃料や化学物質の合成も展開した。

三井化学 触媒科学奨励賞

千葉 俊介千葉 俊介
南洋理工大学 准教授


業績:
「含窒素複素環化合物の合成を指向した一電子移動型レドックス触媒系の開発」

熊谷 直哉熊谷 直哉
微生物化学研究所 主席研究員


業績:
「協奏機能型不斉触媒の開発と医薬品の高効率不斉合成への応用」

千葉俊介博士は、銅触媒による空気酸化反応や、マンガン触媒によるラジカル反応などにおいて、一電子移動による酸化還元(レドックス)を利用した独創性の高い分子変換反応を開発し、医農薬や材料分野で広く用いられている含窒素複素環化合物の合成に途を開いた。

熊谷直哉博士は、ソフトLewis酸/ハード塩基、希土類金属/水素結合性配位子を組み合わせた独自の協奏機能型不斉触媒系を開発し、創薬にも関連する多数の有用化合物の高効率不斉合成を達成した。

2011年受賞者

三井化学 触媒科学賞

David W. C. MacMillanDavid W. C. MacMillan
プリンストン大学 教授


業績:
「有機触媒の新しい展開」

David W. C. MacMillan 博士は、有機触媒、特にキラルな触媒について顕著な業績をあげている。有機触媒の開発を先導し、環境にやさしい非金属触媒を実用的なレベルで実現するとともに、その後もこの分野で中心的な役割を果たしてきている点が評価できる。

三井化学 触媒科学奨励賞

山口 和也山口 和也
東京大学 准教授


業績:
「金属水酸化物の特性に基づく高活性不均一触媒の開発」

依光 英樹依光 英樹
京都大学 准教授


業績:
「不飽和アルコールと有機ハロゲン化物のパラジウムによる触媒反応の開発」

山口和也 博士は、不均一系触媒の分野に新しい分子設計的な概念を導入し、独自の視点から創出した金属水酸化物触媒 (Ru(OH)x / AI2O3 等)が、効率的な有機合成反応に適用できることを明らかにした。着眼点がよく、よく知られた材料のなかに新たな価値を見出した。今後幅広く使われることが期待される。

依光英樹 博士は、活性な有機金属化合物を使って実現されてきたパラジウム触媒によるクロスカップリング反応を、ホモアリルアルコールの巧みな分子設計により、中性分子を用いて高効率に実現した。この合成手法は環境負荷の少ない精密触媒科学の新天地を切り開くものと評価される。

2009年受賞者

三井化学 触媒科学賞

John F. HartwigJohn F. Hartwig
イリノイ大学 教授


業績:
「炭素-水素結合活性化および高効率カップリング反応などの斬新かつ実用的な触媒反応の開発」

野崎 京子野崎 京子
東京大学 教授


業績:
「極性モノマーの配位共重合のための新しい触媒の開発」

John F. Hartwig 博士は、触媒科学の未解決課題の一つである触媒的炭素-水素結合活性化への先駆的寄与、および高効率的カップリング反応の開発など新形式反応の開発を広く行った。また、その研究を支える反応機構研究の深さについても特筆できる。

野崎京子 博士は、触媒反応に関する基礎研究の蓄積を通じて、触媒科学の重要課題の一つであるオレフィンと極性モノマーの配位共重合を可能とする革新的触媒反応を開発した。

三井化学 触媒科学奨励賞

松永 茂樹松永 茂樹
東京大学 講師


業績:
「不斉配位子設計に基づく多中心触媒反応の開発」

中尾 佳亮中尾 佳亮
京都大学 助教


業績:
「炭素-炭素結合形成付加反応のための協働金属触媒の開発」

松永茂樹 博士は、触媒反応を多中心的に制御するという概念の有効性を実証し、有用有機化合物の合成に展開した。

中尾佳亮 博士は、ニッケルとルイス酸の協働的触媒作用を用いることにより、新しい炭素-炭素結合形成付加反応を開発した。

2007年受賞者

三井化学 触媒科学賞

侯 召民侯 召民
(Zhaomin Hou)
理化学研究所 主任研究員


業績:
「新しい希土類金属錯体触媒による重合反応の開発」

Gregory C. FuGregory C. Fu
マサチューセッツ工科大学 教授


業績:
「新概念触媒に基づくカップリング反応と不斉合成反応」

侯 召民博士は、希土類錯体の基礎化学から応用までの系統的な研究を通じて、新触媒によるオレフィンおよびジエンなどの広範な重合を実現し、新規高分子材料開発の道を拓いた。

Gregory C. Fu博士は、有機合成触媒の開発において、面性不斉などの新しい概念を提案し、新規性、汎用性が極めて高い、種々の有機合成手法を開発した。

三井化学 触媒科学奨励賞

寺尾 潤寺尾 潤
大阪大学 助手


業績:
「陰イオン性遷移金属錯体を鍵触媒中間体とする炭素結合生成反応」

陳 志宏陳 志宏
(Michael C. W. Chan)
香港市立大学 助教授


業績:
「重合反応における弱い吸引性相互作用の重要性の提示」

寺尾 潤博士は、陰イオン性オレフィン遷移金属錯体に着目し、カップリング反応や付加反応などの炭素-炭素結合形成反応の新触媒となることを示し、有機合成に新しい分野を切り拓いた。

陳 志宏博士は、オレフィン重合制御のための弱い吸引性相互作用の重要性を中性子回折などの手法で証明し、重合触媒設計への新しい指針を提供した。

2005年受賞者

三井化学 触媒科学賞

Eric N. JacobsenEric N. Jacobsen
ハーバード大学 教授


業績:
「不斉酸化・加水分解・炭素-炭素結合生成反応に向けた不斉触媒の開発」

小林 修小林 修
東京大学 教授


業績:
「環境調和型有機合成を指向した新触媒の開発」

Eric N. Jacobsen博士は、新しい選択的不斉合成反応を、真に重要な化合物に標的を絞って開発し、実用レベルまで完成させた。

小林 修博士は、新しい概念のルイス酸触媒や、水中での反応が可能な触媒など、革新的な業績を挙げ、独創的で環境低負荷型の有機合成分野を展開した。

三井化学 触媒科学奨励賞

桑野 良一桑野 良一
九州大学 助教授


業績:
「新規不斉触媒と遷移金属触媒反応の開発」

伊丹 健一郎伊丹 健一郎
京都大学 助手


業績:
「着脱可能な配位性制御基を用いた新合成方法論の開拓」

桑野 良一博士は、トランス配位という独創的な着想に基づいて、新規キラルホスフィン配位子を創製し、不斉還元の分野に新しい展開をもたらした。

伊丹 健一郎博士は、パラジウムを中心とした金属触媒の配位子に関して、着脱可能な制御基という概念を提唱し、種々の新規フォスフィン配位子を設計して高選択・高効率を達成した。