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CFOメッセージ

社長メッセージ

「新たな顧客価値の創造」 事業活動を通じた社会課題の解決に取り組み、社会と当社グループの持続的発展 “Sustainable Growth”を目指しています。

2014年度中期経営計画(14中計)の2年目となる2015年度は、14中計の使命である「成長を牽引するターゲット事業領域の拡大」と「基盤素材の大型市況製品の再構築」によるポートフォリオ変革が、順調に進捗しました。

14中計「新たな顧客価値の創造」のポイントは、従来のプロダクトアウト型の発想から、マーケットイン型の発想への転換です。全ての技術・製品・サービスにおいて、最終消費者にとっての使用価値までを視野に入れ、その求める価値の深層ニーズに対して、全社横断的に最適なソリューションの提供を図ることにより、持続的に収益拡大可能な事業ポートフォリオへの変革を進めています。
当社グループの強い基盤を活かすことができる領域を「目指す事業ポートフォリオ」と定め、「モビリティ」、「ヘルスケア」、「フード&パッケージング」の3領域を成長を牽引するターゲット事業領域、「基盤素材」を産業や社会を支える事業領域として展開してきました。

これらの戦略推進はもちろん、「新事業・新製品創出戦略」についても、マーケティング主導の開発を定着させ、深層ニーズに応える価値を提供し得るような将来のコア事業の創出を行っています。
また、持続的な発展を目指していくためには、環境変化に対応し得る経営基盤の強化が重要なことはいうまでもありません。14中計では、改めて、グローバルに活躍できる多様な人材の育成をはじめ、財務・情報・組織を強化する「事業支援戦略」と、安全はすべてに優先するという方針の下での競争力強化を目指す「生産・技術戦略」を、経営基盤強化のための基本戦略として明確に掲げ、取り組んでいます。

代表取締役社長執行役員
淡輪 敏

2015年度の概況

2015年度は、14中計の2016年度目標を上回る、営業利益709億円(前年比69%増)を達成いたしました。 原油安や円安などの外部環境の追い風もありましたが、14中計で一貫して進めてきた「景気変動に左右されない事業ポートフォリオ変革」に向けた取り組みの効果が表れた結果と考えています。

2015年度の世界経済は、中国や新興国で景気減速の動きが鮮明になりましたが、米国、英国やドイツを中心としたヨーロッパでは緩やかな景気回復の動きが継続しました。日本経済においても、企業収益や雇用環境改善などを受け、景気に力強さは感じられないものの、緩やかな回復の動きを見せました。
このような環境の下、当社グループは、成長ターゲット事業領域の集中的な拡大と基盤素材領域における事業再構築を着実に進め、各事業領域ともに順調に利益が拡大いたしました。

モビリティ領域は、PPコンパウンドやエラストマー等を中心とする機能樹脂製品が、特に北中米の自動車生産・販売の増加に伴う需要拡大を受け、これまで実施してきた成長投資の順調な回収に貢献しました。需要が旺盛な製品群については、今後も、適切なタイミングで能力増強を行い、顧客基盤ニーズに応えてまいります。また、自動車の電装化や自動運転といった新たなニーズに対しては、幅広い材料ラインナップを複合化し、課題解決型の総合提案活動を進めていきます。

ヘルスケア領域は、メガネレンズ用材料と衛生材料用不織布が海外需要の拡大を受けて順調に販売数量を拡大させました。メガネレンズ用材料では、高屈折率レンズの主原料であるXDIの大型生産設備が営業運転を開始し、また、プレミアム紙おむつ向けの高機能不織布は、国内2か所の生産設備と、タイでの通気性フィルムの生産設備の増設を決定しました。旺盛な需要を取り組むべく、供給体制の準備を進めています。歯科材料事業については、事業買収当初の想定よりも事業展開に遅れが出てしまいましたが、課題の特定と対策の実行により、業績改善に努めてまいります。

フード&パッケージング領域では、農薬は海外展開に注力しており、ブラジルのIharabras社への増資、タイのSoutus社株式の追加取得を行い、既存製品の海外展開を着実に進めています。また、新規パイプラインも順次上市していく予定です。パッケージング分野では、食品包装材料向け、スマートフォンをはじめとした電子材料向け等、機能性フィルム・シートの販売が堅調に推移し、収益を拡大しました。高付加価値分野でさらに拡大していきます。

基盤素材領域は、国内最適生産体制の確立、安定的なフル稼働の継続等、これまで実施してきた事業再構築の効果が着実に発現しております。基盤素材は、三井化学のモノづくりの原点でもあり、あらゆる産業の基盤です。社内外に広く素材や技術を提供していくためにも、収益構造のさらなる安定化を目指してまいります。
また、14中計では、グローバル経営に向けた取り組みを進め、成長のターゲット領域を中心に各事業の戦略に沿って海外展開を図った結果、海外売上高比率45%まで上昇しました。

引き続き、持続的な成長を可能とする事業ポートフォリオへの変革を進め、さらなる成長に向けて取り組んでまいります。

2015年度連結売上高

経営戦略加速のために

ガバナンス体制の刷新

2015年9月に制定したコーポレートガバナンス・ガイドラインに基づき、コーポレート・ガバナンス体制の見直しを行いました。経営の透明性を高め、迅速・果敢な意思決定を行える機動的な運営体制を目指しました。

2016年4月、各事業のシナジーを追求し事業ポートフォリオ変革を加速させるため、戦略の方向性と合致した4事業本部体制への組織改正を実施いたしました。

経営体制についても、コーポレート・ガバナンスの強化とスピードの観点から、役割の見直しを行いました。これまで、各取締役が各部門全領域の経営監督と業務執行を担ってきましたが、今回、監督と執行を分離いたしました。取締役は経営監督に特化し、執行役員は業務執行に特化して権限委譲を拡大することにより、全社戦略をよりスピーディーに遂行できる体制としました。さらに、社内取締役を減らして社外取締役の比率を増やすことで、取締役会の経営監督・監査機能を強化しました。
また、ガバナンスの実効性評価を実施し、その結果を基に社外役員のみで討議し、取締役会で今後の課題や方策につき議論を行う場を設けております。当社取締役会の監督機能を高めるべく、必要な施策を行ってまいります。

経営計画システムの変更

3-4年ごとの中期経営計画の策定から、毎年の予算策定時に3年先までの事業計画を見直すローリング形式へ、経営計画システムを変更いたしました。環境変化に臨機応変に対応し、戦略実行のスピードと確度を高めてまいります。

為替や原油価格をはじめ当社事業を取り巻く不透明さが増しています。経済環境の変化は、今後ますますスピードを増していくと考えられ、数年先の状況を見通すのは大変困難です。この環境の下で、経済や事業の実態とかけ離れた計数目標値は意味をなくしてしまいます。重要なのは、環境変化に応じて迅速に手を打っていくこと。このローリング形式の経営計画は、初年度の数値目標をコミットメントとし、2、3年先の数値は経営環境を踏まえて、戦略と合わせて毎年見直してまいります。本年は2018年度までの目標を定めました。
一方で、このシステムをしっかり回していくには、足下だけを見ていては方向性を見失いかねず、長期的な方向性の基軸をしっかりと持っていなければなりません。現在、2025年に向けた長期経営計画の策定を行っています。

Sustainable Growthに向けて

2016年度の営業利益700億円、2019年度には2020年近傍の目標値である1000億円を前倒しで達成するとともに、事業活動を通じた社会と当社グループのSustainable Growth実現を目指してまいります。

2016年度は、英国のEU離脱もあり、前年に増して世界経済の不安定さが高まり、為替を始め事業環境の不透明さやリスクが増大しています。このような状況下ではありますが、当社グループは、2015年度並みの営業利益700億円、当期純利益360億円を計画いたしました。現在、各製品の拡販、鹿島工場閉鎖や大牟田工場MDIの停止効果の発現など、各事業領域での施策により、当初計画を上回る見込みで順調に進捗しています。2017年度以降は、これまで着手してきた成長投資が順次、利益寄与してくる見込みですが、新事業・新製品の創出のさらなる加速が重要です。目標を前倒しで達成できるよう努めてまいります。

2015年は、9月に「国連持続可能な開発サミット」で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs)では、17の目標達成に向けて国際社会のすべてのステークホルダーの参加が求められ、また、12月に開催された「気候変動枠組条約第21回締約国会議」(COP21)で採択された「パリ協定」は、その実行に向け先進国、新興国が一致して取り組むことが合意されました。

貧困、飢餓、資源・エネルギー、気候変動、環境などのサステナビリティに関する課題に国際社会が一致して取り組むことが表明され、持続可能な社会の構築を目指す世界の様々なステークホルダーにとってエポックメーキングな年となりました。

三井化学グループもさまざまなステークホルダーから要請される環境軸・社会軸の課題にも積極的に対応するバランスのとれた経営を実現させ、事業活動を通じた社会と当社グループのSustainable Growthを目指してまいります。(2016年6月)

(億円) 売上高 営業利益 当期純利益 ROA ROE Net D/E 配当
2016年度計画 12,500 700 360 5.6% 9.1% 0.92 9円 / 株
2015年度実績 13,439 709 230 5.3% 5.8% 1.03 8円 / 株

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