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社外取締役 × 担当役員対談

中期的な価値創造につながるガバナンスを目指して

取締役会の実効性改善を目指して

久保
コーポレートガバナンス・コードの制定を受けまして、取締役会の在り方が非常に注目されています。
当社も、20年くらい前から、社外取締役の方にお入り頂き、先進的な取締役会の運営をしてきた自負があります。当社取締役会の印象は如何でしょうか。
鈴木
2010年から、6年間にわたって社外取締役を務めて参りました。三井化学の取締役会は、自由に意見や質問をできる雰囲気があります。取締役会に臨むにあたり、担当の執行役員の方から、事前に詳細な資料に基づいた説明があります。また、経営会議の会議録を始め、様々な関連資料が提供されています。これらを事前に検討できるので、ポイントをおさえた意見なり質問ができる環境が整っている、と思っています。
黒田
私は、今年が1年目になります。取締役就任に際し、現場に赴く機会がありました。やはり、現場現物を見ると、単なる化学記号だったものが、あ、こういうことなのか、と分かり、取締役会で意見を述べる際にも、とても効果的だと感じました。
久保
今年初めての試みとして、取締役会の実効性評価を実施しました。
実効性評価は、まず、全取締役及び監査役に対してアンケート調査を実施しました。その結果を基として、社外役員のみの会合における議論を行いました。
黒田
当社に限ったことではありませんが、取締役会の場が、業務上の議題に時間を費やしてしまう傾向が見られました。その結果、長期的な企業価値向上のための上位戦略を議論する時間が不足してしまう。コーポレートガバナンス改革に、社内の様々な規定が十分に追い付いていない例だと思います。
久保
そのようなご意見を踏まえまして、取締役会の場で、今後の課題や方策を議論しました。議論の結果、今般、取締役会の付議基準を見直し、業務執行は執行役員に大きく権限移譲。取締役会は、中長期的な企業価値向上にどのような企業戦略を採るべきか、といった議論を中心に行うかたちに、大きく舵を切りました。
鈴木
グローバル化とスピードが求められているこの時代、やはり、執行役員の方の責任と判断の範囲を広げていく必要があります。私も、従来の三井化学は、そこがやや狭かったと思います。
今度はそこを改革した訳ですから、その期待に応えた執行体制づくりを是非支えていきたいですね。
黒田
今回の改定により、取締役会がより長期的なこと、あるいは経営戦略的なところに時間を割けるようになりました。三井化学が、日本の企業の中でも先進的にガバナンス改革を行っていく、ということが期待できる、そう思っています。
久保
ありがとうございます。
世の中の激変に迅速に対応し、今後の経営戦略を適時適切に見直していく、そういった取締役会の運営を目指していきたいと思っています。

中期経営計画の先に描く三井化学の姿

久保
それから、中期経営計画についてもご意見を頂きたいと思います。今中計では、モビリティ、ヘルスケア及びフード&パッケージングの成長を牽引する3つのターゲット事業領域については、重点的に資源を投下して拡大する。一方、基盤素材については事業構造改革を進め、安定的に黒字が定着する体質に変える、ということに取り組んできました。
今中計最終年度を迎え、中期経営計画の目標達成への手応えを得ていますが、一連の取り組みについてご意見をお願い致します。
鈴木
三期連続の赤字決算を踏まえ、如何に三井化学を立ち直らせるか、という点で、当時の取締役会は随分議論を重ねました。結果的には、新生三井化学は、非常に力強く立ち上がった。研究開発部門と事業部門は緊密に連携し、顧客の声に耳を傾け続けました。海外プラント建設現場では、多様な文化や風土の中で工事進捗に歯がゆさを感じつつも懸命に頑張っておられる社員の姿を目の当たりにしました。これらの社員一丸となった取り組みが、結果に結び付いたものと信じています。
社員の皆さんには、真面目なだけではなく、失敗を恐れずに切り込んでいく、勇気をもって新しいことに取り組んでいく、そういった力強さを忘れてほしくないですね。
黒田
これからは、環境の良し悪しに大きく拠ることなく、真の実力を磨くフェーズに入ります。
より川下に事業展開し、付加価値を引き上げる戦略をとるためには、企業買収後の経営ノウハウも蓄えなければいけないでしょうし、それはある意味、会社の中核として装置産業を安全にオペレーションしていく人材に加え、今までとは違った経営人材が必要になってくることを表していると言えるでしょう。これらの課題にも、是非前向きに取り組んでいきたいですね。
鈴木
経営人材としては、これからの時代は、是非女性の役員の方の誕生を期待したい、こう思っています。それが企業の多様化にもつながるし、国際的な信用力にもつながっていくでしょう。
久保
最後に2020年近傍に向け、三井化学はこういう会社であってほしい、という、お二人の夢や思いを教えて頂けますか。
黒田
営業利益1,000億円という目標はとても大事なのですけれども、等しく大事に考えて頂きたいと思っていることは、当社の将来像の基盤となっている、「事業活動を通じて社会課題を解決していく」という思いです。2020年には、社員の皆さんが、三井化学はこんな社会課題を解決できたという事実、そして、それを誇りに思っている社員たちがたくさんいるという状態を、是非目指して頂きたい、と思っています。
鈴木
三井化学には、末端製品まで含めて、社会生活の利便や安心・安全に役立ち、自分たちの仕事が社会の発展に貢献しているという自信と誇りを持ってほしいです。
将来は、三井化学が世界の先陣として切り開いていく、成長3分野に加わる新たな分野を開拓し、三井化学のブランドを冠した商品が、広く消費者の目に触れるような、そのような会社になれると良いですね。
久保
ありがとうございます。中長期的な企業価値向上に向け、これからも様々な取り組みを続けていきたいと思います。

(2016年6月8日)

鈴木 芳夫(すずき よしお)

当社社外取締役、
弁護士法人一番町綜合法律事務所 弁護士、
中央大学法科大学院教授、
(株)サマンサタバサジャパンリミテッド 社外監査役

(2016年3月31日現在)

黒田 由貴子(くろだ ゆきこ)

当社社外取締役、
(株)ピープルフォーカス・コンサルティング取締役・ファウンダー、
(株)CAC Holdings社外取締役、
丸紅(株)社外取締役

(2016年3月31日現在)