進捗報告2【植物由来ポリウレタン】

エコカー素材として世界初の実用化

三井化学が取り組んできた非化石・非可食原料開発の成果のひとつ、植物由来ポリウレタンが環境対応車トヨタ自動車(株)の「プリウス」などのシートクッションとして実用化されました。

厳しい官能評価試験を乗り越えて高品質を実現

自動車のシートクッションや内装材、断熱材、寝具など幅広い用途に使われるポリウレタンは、ポリオールとイソシアネートを原料につくられます。そのうち、ポリオールの一部をトウゴマの種子(蓖麻子)からとれるひまし油の成分に置き換えたポリウレタン製のシートクッションが、「プリウス」2009年モデルの運転席に採用されました。

この植物由来シートクッションは、トヨタ自動車(株)様、トヨタ紡織(株)様、三井化学の3社の共同開発によって完成したものです。次世代プリウスの運転席に搭載する方針は2006年に示され、その後の一年が「密度の濃い一年だった」と、ウレタン事業本部で植物由来ポリウレタンの開発に取り組む鵜坂和人は振り返ります。

「植物由来ポリウレタンは石油系に比べて低反発ですが、シートクッションには高反発性の他、 高耐久性と官能評価が求められます。官能評価は乗り心地に関するもので数値ではなかなか明示しにくい項目もあり、何度も試験を重ねては改良を加えてきました。そして官能評価の点数 が次第に上がっていき最終的には、『これまでより乗り心地が良い』という高い評価をいただき課題を乗り越えることが出来ました。」


ウレタン事業本部
ウレタン開発部
主席研究員
鵜坂 和人

100%植物由来にも挑戦、用途拡大にも取り組む

「自動車シートクッションとして実用化された植物由来ポリウレタンは世界初です。まだ植物成分の比率は15%程度ですが、この比率をもっと高めていきたい。将来的にはイソシアネートも植物由来にできれば、100%植物性でカーボンニュートラルによる再生可能なポリウレタンができあがります」(鵜坂)

原料のひまし油は非可食であり、食料との競合という面でも問題が少ない資源です。

「ひまし油は品質にばらつきが少なく安定していて、使いやすい素材です。従来から塗料や接着剤に使われていたものに注目しました。」

三井化学は、シートクッション以外の用途開発にも取り組んでいます。低反発性を活かした寝具や、建物・冷蔵庫などの断熱材としても有望です。

「省エネルギーにつながる断熱材が植物由来になれば、使用時にも環境に貢献できます。今はまだ石油系に比べて高コストですが、用途が広がり生産量が増えればもっと安く提供できるようになります」と、鵜坂は語ります。

カーボンニュートラルの考え方

VOICE

トヨタ自動車ではエコプラスチックの使用を通じて地球温暖化の大きな要因とされるCO2削減に取り組んでおります。

自動車シートという性格上、機能性、安全性を求められる物性を満たした上で、植物由来成分を導入することは難しいことですが、三井化学、トヨタ紡織と共同開発したバイオウレタンは自動車用シートクッションとしては植物度15%という世界最高水準の高い植物度を達成しました。2009年度はプリウス、レクサスHS250h、SAIに採用し、今後もコストダウンを図りながら採用を拡大していきたいと考えています。

自動車メーカーをめぐる環境は厳しさを増しておりますが、素材メーカーには、今後も、人にも地球環境にも優しい素材開発を通じて、お客様にうれしさを提供できるような製品開発を期待しています。


トヨタ自動車株式会社
車両材料技術部
有機材料室長
間瀬 清芝 氏