特集【化学】

太陽電池部材の普及に三井化学グループの総力を結集

クリーンエネルギーの代表格である太陽光発電。2008年の洞爺湖サミットでは福田総理(当時)が、日本における太陽光発電の導入量を2020年に現状の10倍、2030年には40倍に引き上げる目標を明らかにしました。アメリカでもオバマ大統領が主導する「グリーンニューディール」のひとつとして、太陽光発電への取り組みが強化されています。
太陽光発電の要となるのが太陽電池。三井化学は、太陽電池に欠かせない各種の部材開発を通じてクリーンエネルギーの普及に務めています。

太陽電池の市場予想

太陽電池の市場予想グラフ

太陽電池イメージ

太陽電池の普及を支える高シェアの関連部材

太陽電池は、結晶シリコンを主原料とする「結晶系」が現在主流ですが、太陽電池による発電コスト低減のため、近年メーカー各社は、各種「薄膜系」の性能向上にしのぎを削っています。三井化学の太陽電池用部材は、結晶系、薄膜系のどちらにも対応できる研究開発体制が取られています。

三井化学が提供している太陽電池用部材は多岐にわたります。まず、子会社の三井化学ファブロが提供している太陽電池封止材「ソーラーエバ®」。太陽光を電気エネルギーに変換するセルと、表面ガラスやバックシートの間に挟み込まれるもので、接着性や透明性、さらにセルの割れを防ぐための柔軟性が求められます。

ソーラーエバ®の生産量は年間9,000tで、世界でトップクラスの30%のシェアを持っています。2009年には、生産量を2万tに増やし、この分野におけるグローバルリーダーの地位強化を図るとともに、クリーンエネルギーの普及に応える体制を整えました。

薄膜セルの製造工程で使われる「モノシランガス」や「NF3(装置のクリーニング用ガス)」などの特殊ガスでも独自の存在感を示しています。基盤表面にモノシランガスを当ててシリコンの薄膜を形成する蒸着法では、ポリシリコンをスライスしてシリコン基盤をつくるのに比べ、使うシリコンの量を100分の1に減らすことができます。特殊ガスは、省資源効果が非常に大きいのです。

三井化学では2008年9月、モノシランガスをよりいっそう効率的に製造するために、半導体向けポリシリコンを始めとする豊富なシリコン原料系製品の製造技術を有する(株)トクヤマと、モノシランガス製造の新プロセスの共同開発に合意しました。2012年をめどに共同生産を始める計画です。

太陽電池向け部材ではこのほかにも、三井化学ポリウレタンがバックシート用の接着剤である「タケラック®」「タケネート®」(約80%の国内シェア)、三井化学が太陽電池パネルへの水の侵入を防ぐガスケット用部材として「三井EPT」「ミラストマー®」などを提供しています。

太陽電池の“総合司令部”S&C開発室も始動

太陽電池には、20年という長い耐久性能が求められています。そのため、使われる部材にも長期的に安定した品質が求められます。三井化学の各種の製品は、例えばソーラーエバ®がすでに25年の実績を持っているように、かねてから積み重ねてきた技術の蓄積があり、メーカーやユーザーから強い信頼を得てきました。

従来、それぞれの部材は、各事業部や子会社が独自に製造と販売を担ってきました。それは今後も変わらないものの、三井化学グループ全体として太陽電池を核にした環境対応製品の普及を進める必要があると考え、2008年8月に「ソーラー&セル部材開発室」を設置しました。いわば三井化学グループの太陽電池部材関連事業の“総合司令部”となる部署です。現在、各事業部の兼務者も含め、総勢約20名のスタッフがいます。

開発室の準備段階から関わってきた寺内知哉主席部員は、「太陽電池は、環境への貢献度も高く、成長性も見込まれる分野なので、多くの競合企業が続々と進出しています。その中で、三井化学グループがどのような存在感を発揮できるかについて、全体の戦略の策定を急いでいます」と語ります。進行中の中期経営計画では、三井化学グループの太陽電池関連売上高を2008年の80億円から、2011年には200億円に増やすことを目指しています。

寺内は「太陽電池用部材の開発は、子どもたちに輝く未来を残せる仕事であり、やりがいを感じています。さらに風力などクリーンエネルギー全般の情報を集め、取り組みを広げていきたいと考えています」と意気込んでいます。

ソーラー&セル部材開発室のメンバー
ソーラー&セル部材開発室のメンバー

機能材料事業本部 企画開発部 ソーラー&セル部材開発室 主席部員 寺内 知哉
機能材料事業本部
企画開発部
ソーラー&セル部材開発室
主席部員
寺内 知哉

三井化学の太陽電池材料

三井化学の太陽電池材料